「本当に自分、野球馬鹿だと思いますよ」と語る、好きを仕事にした厳しさと幸せ。世の中を野球好きでいっぱいにしたい。
BSO(株)
吉川達雄社長 (愛知)

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BSO株式会社の吉川達雄社長は、強烈な野球愛から野球事業を起こし、草野球大会、野球教室、プロ野球選手のセカンドキャリア支援などを次々と展開されています。
「監督業と社長業兼任しているので休みは無いですよ。でも365日野球漬けで楽しいと思ってしまうんです。」と野球愛がこぼれてしまうような笑顔で話してくれた吉川社長の汗と涙の塩(CEO)味ストーリーとこの先の夢とは。

「プロと同じ球場で試合ができる」この感動を広めたい

マリコロ編集長:吉川社長は野球に携わる事業を多数手掛けていらっしゃいますが、野球との出会いはいつに遡るのですか?

吉川:年長さんの頃にはテレビで野球を観るようになり、カッコいいな、面白そうだなと思っていました。実際に野球を始めたのは小学2年生の時で大学1年生まで続けましたね。
「野球に携わる仕事をしたい」とずっと思っていたので、大学卒業後はコカ・コーラに入社し中日ドラゴンズの担当に。選手や監督に飲み物を配っていました。

マリコロ:会社員の頃から野球との関りがあったのですね。野球の事業を始めようと思われた経緯を伺えますか。

吉川:親が証券仲介業をやっていたのですが、そちらが忙しくなり手伝うことにしたんです。7年くらいは働いていたのですが、証券仲介の規則も段々と厳しくなってきて、あまり先がないと感じたこともあり、34歳か35歳の時に会社を設立しました。

愛知県名古屋市にある熱田球場で取材させていただきました

マリコロ:最初に手掛けたのはどのような事業ですか?

吉川:僕はずっと草野球をやっていて、自分のチームの知名度をあげたいという気持ちがありました。そこでチームの名を冠した草野球大会を開催したんです。
決勝戦はナゴヤドームでプレイできるように企画したのですが、入場した時に、感動して泣いているプレイヤーがいまして。
プロ野球が開催される球場で自分たちが野球をやれることに、すごく感動してくれたんです。
参加者が喜んでくれたことがとにかく嬉しくて、これは名古屋だけじゃなく、もっと全国的にやるべきだと思い草野球大会の事業を始めました。

人脈を辿って全国行脚、事業成立までに5年

マリコロ:確かに、野球をやってきた方にとっては夢の舞台ですよね。それでも事業として収益を得るのが難しそうなイメージがありますが、その点はいかがでしたか。

吉川:そうですね、当時草野球事業をやっているような会社はそもそもなく、人脈を開拓することに加え、マネタイズするシステムを作ることが本当に難しかったですね。
野球の人脈って外に公開されているものじゃないので、人の紹介、紹介のまた紹介という形で繋がっていくしかありませんでしたから。
47都道府県まわって、一人ひとりにお会いしてこちらの趣旨を理解してもらい協力を得てと繰り返しながら、システムができるまでに5年ほどかかりました。
いろんな場所へ行って人に会うのは楽しい部分もあるのですが、この事業が成り立つのか、正直不安との闘いでもありました。5年間でほとんどの貯金を食いつぶしましたよ。

中学生のとき、この球場で優勝したときのことを思い出し懐かしさが込み上げる吉川社長。

マリコロ:軌道に乗せることができたきっかけはあったのでしょうか?

吉川:一番大きかったのは『トクサンTV』『qooninTV』という野球YouTuberで有名な方がうちの大会に参加してくれたことです。
その2チームがどんどん勝ち上がってくれたので、YouTubeに大会の名前がバンバン出て、知名度が一気に上がりましたね。
また、ずっと一人で仕事をしていましたが忙しくなってきたので、若い社員を3人雇いました。その分大会運営について考える時間がとれたことも大きかったと思います。

野球を通して人間形成を。監督として小学生を指導

マリコロ:現在は草野球大会の事業以外にも、野球に関わる事業を複数展開されていますが、どのように広げていかれたのですか?

吉川:「草野球をやる人ってそもそもどんな人?」と考えた時、幼いころから野球をやっているという特徴が浮かびましたので、野球教室をやることにしたんです。
野球にはさまざまな指導方法がありますが、正しいことを教えてあげればある程度上手くなるスポーツなんです。
指導者を雇い、指導方法のマニュアルを作成して、小学生、中学生を対象とした野球教室を運営しています。
他にもプロ野球のOB選手のセカンドキャリアのサポート、JTBさんと共同で野球を絡めた町おこしをするなど、今後も新しいサービスをどんどん展開したいと考えています。

マリコロ:吉川社長ご自身が監督されている小学生のチームもありますよね?監督としてはどのような指導をされているのですか?

吉川:監督業は、事業半分、趣味半分でやっています(笑)。
少年野球と聞くと昔からのイメージで、厳しい、強制されるなど悪いイメージを持っている人もいますがそれは野球にとって非常にマイナスなことなので、一からそういったイメージを払拭していこうと、野球界のためにもモデルとなるチームにしたいと考えています。
子どもたちには「野球を通して人間形成するんだよ」と常日頃伝えていますし、家庭の中でも、社会に出て仕事をする時でも、自分の役割を果たすことの必要性を野球を通じて覚えてほしい、そんな話をしています。
子どもって野球の話よりも、どうやったらお金持ちになれるかという話の方に食いついたりするんですよ(笑)。

マリコロ:え?お金持ちになることも野球で学べるのですか?

吉川:僕は学べると思っています。僕が考えるに、お金って人に喜びを与えたその対価としてもらえるものだと思うんです。 今は野球でお金を貰えるわけじゃないけど、一生懸命頑張って成長する姿を見せれば、保護者の方、指導者も喜びます。そうやって人を喜ばせながら頑張れる人が応援され、結果お金を稼ぐことにつながるのではないかと。僕の考えですけどね。

一生熱中できる“野球”に出会えたことが幸せ

マリコロ:社長業に監督業、本当に野球漬けの毎日だと思いますが、吉川社長をそこまで熱中させる野球の魅力を伺いたいです。

吉川:そうですよねー僕もわからないんですよ。もう小学生の時から野球に取り憑かれていて、野球場に来ただけでアドレナリンが出ちゃいますから(笑)。でも最後まで何が起こるかわからないスリルはたまらないですよね。だからこそ結果が出るまで諦めずに頑張ることが大事だと思っています。

マリコロ:野球に携わっているだけで幸せを感じられているような印象を受けます。今後、教え子が起業するということもあるかもしれませんが、社長になるためにはどんな素質が必要だと思われますか?

吉川:広くものを見る目、あとは度胸じゃないですかね。怖がったら何もできないですから。
それから好きなことを徹底的にやることだと思います。ずっと継続していれば最後仕事になっているかもしれない。そうするとすごくハッピーな人生になると思います。

マリコロ:まさに吉川社長ですね!最後に社長の夢を教えていただきたいです。

吉川:今は従業員が40名くらいいるのですが、もっと雇用を増やしていきたいと考えています。
プロ野球選手になれなくても、野球に携われる仕事があるよと、たくさんの人に知ってもらい、野球に携わって生きていける人を増やしたいです。
また、今子どもが少なくなり野球人口が減っている現状です。僕自身が幼少期に野球を好きになったので、4歳5歳の頃からもっと野球に触れる機会を作り、自分の周りを野球好きでいっぱいにしたいですね。